かつてWindowsにはいくつか系統があった

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現在では、WindowsといったらWindows 10がメインストリームサポート期間が続いており、Windows 8.1は延長サポート期間、すでにサポート期間は終了したがWindows 7の利用者も依然として少なくないが、これらは実はWindowsの系統としてはWindows NTの系統に入る。これらは元々は企業向けのOSで一般消費者向けではなく、一般消費者向けには別系統のOSが提供されていたが、Windows XPからは一般消費者向けとしても使われるようになり、Vista、7、8、8.1、10と続いている。

ここでは、かつて存在したWindowsの系統について、説明していきたい。

Windowsには大きく4つの系統があった

Windowsファミリーは大きく分けて以下の4つの系統があった。

  • 初期のWindows(1.0〜3.x)
  • Windows 9x系
  • Windows NT系
  • Windows CE系

初期のWindows(1.0〜3.x)

初期のWindowsは厳密にはOSではなく、MS-DOSと呼ばれるコマンドラインのOS上で動くデスクトップ環境として販売されていた。この系統では以下が挙げられる。(北米での発売年)

  • Windows 1.0 (1985年)
  • Windows 2.0 (1987年)
  • Windows/286 2.1 / Windows/386 2.1 (1988年)
  • Windows/286 2.11 / Windows/386 2.11 (1989年)
  • Windows 3.0 (1990年※日本では1991年)
  • Windows 3.1 / Windows for Workgroups 3.1 / Windows 3.11 (1992年※日本ではWindows 3.1のみ1993年)
  • Windows for Workgroups 3.11 (1993年)

最初期のWindows 1.0は現在と比較すると極めて貧弱な機能しか持たず、ウィンドウをタイル状に並べることしかできずに一部を除き重ねることができない、80286以降で利用可能なプロテクトモードを利用しておらず8086相当のリアルモードしかサポートしていなかったことでメインメモリを1MBしか使えず ((実際にはOSの制約でさらに容量が制限されていた)) 、動作も遅かったことから評判は良いとは言えなかった。

Windows 2.0ではウィンドウを重ねることができるようになり、ウィンドウの最大化・最小化を行うことができるようになった。また、メモリ周りではEMSに対応した。改良版のWindows/286 2.1xやWindows/386 2.1xではXMSやEMSを駆使することでメモリ周りが改善された。Windows/386はWindows 2.xのIntel 80386以降対応バージョンで、仮装86モードを駆使してDOSウィンドウのマルチタスクが実現されるようになった。この頃からMicrosoft ExcelなどののちのMicrosoft Officeスイートのアプリが登場し始めるようになった。

Windows 3.0ではUI周りが大幅に改善されたと同時に、80286や80386のプロテクトモードを有効活用することで、これまでには不可能だった比較的大きなメモリを消費するアプリケーションを作れるようになった。Windows 3.0ではリアルモード(8086相当)、スタンダードモード(80286相当)、386エンハンスドモード(80386相当)の三種類があり、リアルモードではWindows 2.xまでとの互換性が高いが大容量のメモリは使用不可、スタンダードモードでは最大16MBのメモリが使用可能だった。386エンハンスドモードではさらに仮想メモリのサポートで物理メモリを超えた容量のメモリを確保することもできるようになった。これによってMS-DOSや従来のWindowsでは実現できなかった巨大なアプリケーションが登場し、実用性は大幅に向上した。

Windows 3.1はWindows 3.0の改良版で、インストールの簡易化やパフォーマンスの向上が行われた。また、TrueTypeフォントやWindows 3.0では拡張機能だったマルチメディア機能が標準で組み込まれるようになった他、操作性の向上も行われた。日本語版ではMS-IMEが導入 ((Windows 3.0までは各OEMで独自の入力システムが導入されていた。)) されるなど、各プラットフォームで差異のあった状態が統一化されるようになった。一方で、リアルモードは廃止された。英語版のみではあるが、ネットワーク対応用のアドオンであるWindows for Workgroups 3.1のほか、Windows 3.1のアップデート版のWindows 3.11、Windows 3.11とは別のバージョンであるWindows for Workgroups 3.11も販売されていた。

Windows 9x系

Windows 9x系は1995年に発売されたWindows 95から始まる、以下のOS群を指す。内部バージョンから、4.x系とも言われる。この系統のWindowsは一般消費者向けをターゲットにしたものであった。

  • Windows 95 (4.0) (1995年)
  • Windows 98 (4.10) (1998年)
  • Windows 98 Second Edition (4.10) (1999年)
  • Windows Millennium Edition (4.90) (2000年)

Windows 95は、テキストベースのOSであるMS-DOSとかつてはデスクトップ環境だったWindowsを一つにまとめて一つのOSとして成立させたWindowsであり、本格的に32bit環境への移行が進んだ。Windows 95では現在のWindowsに通じるバージョンでもあり、プラグアンドプレイ、スタートボタンやタスクバー、右ボタンメニュー、Explorerの導入といった現在のWindows 10でも改良されながらも使われている機能の多くを取り込んだバージョンでもある。一部のOEM向けバージョンではWindows 98以降で導入された機能の一部を先取りで実装している。

Windows 98は、Windows 95の後継にあたり、暫定的ながらUSBやIEEE 1394の対応、FAT32の対応などが行われた ((これらはWindows 95 OSR 2以降でも導入されていた)) 。Windows 98 Second EditionではUSB 1.1のサポートやIEEE 1394本格的な対応が行われた。また、DVD-ROMのサポートも追加された。Windows Millennium Edition(Windows Me)ではマルチメディア機能の充実やデバイスドライバのサポートの充実などが行われた一方、MS-DOSモードのサポートは廃止された。

この系統のWindowsは、Windows 3.1xまでの構成から発展したもので、16bitと32bitのコードが混在しており、特に16bitのコードに関連する問題でシステムリソース不足になって動作が不安定になることが往々にしてあった。とりわけWindows Meではこの問題を抱えた状態で機能を充実させたため、リソース不足が深刻になっていった。

Windows XPの登場により、一般消費者向けのWindowsもNT系が担うことになったことで、この系統のWindowsは終焉を迎えた。

Windows NT系

Windows NT系は、Windows NT 3.1から始まるWindowsの系統の一つで、Windows XP以降は一般消費者向け・企業向け共にWindowsファミリーでは主流となっている。

  • Windows NT 3.1 (1993年※日本では1994年)
  • Windows NT 3.5 (1994年※日本では1995年)
  • Windows NT 3.51 (1995年※日本では1996年)
  • Windows NT 4.0 (1996年)
  • Windows 2000 (NT 5.0) (2000年)
  • Windows XP (NT 5.1) (2001年)
  • Windows Vista (NT 6.0) (2006年)
  • Windows 7 (NT 6.1) (2009年)
  • Windows 8 / Windows RT 8 (NT 6.2) (2012年)
  • Windows 8.1 / Windows RT 8.1 (NT 6.3) (2013年)
  • Windows 10 (NT 10.0) (2015年)

また、Windows Server 2003以降のサーバー向けOS群のWindows ServerシリーズもWindows NT系に該当する。

Windows NT系は初期のWindowsやWindows 9x系とは違い、業務用途に耐えられる安定性を考慮して作られた32bitオペレーティングシステムとして開発された。Windows NTと呼称されていた時期のWindows NT系は一般消費者向けではなく、業務用であることが前提だったため、マルチメディア機能や新しい機能は搭載されない傾向にあり、9x系と比較してマシンスペックの要求も高かった。

Windows NT 3.1からNT 3.51にかけてはユーザーインターフェース周りはWindows 3.1を踏襲、NT 4.0ではWindows 95を踏襲したものとなっている。

Windows 2000では一般利用者向けの9x系と業務用のNT系の統合が視野に入れられたバージョンであり、Windows 9x系で強みのあったプラグアンドプレイ、マルチメディア機能などが取り込まれた。ただし、この段階では9x系とNT系の統合は成功せず、Windows XPを待つ必要があった。

Windows XPは一般利用者向けと業務向けのOSの統合を果たした最初のバージョンであり、Windows 2000の改良版にあたる。NT系の安定性と9x系の使いやすさを両立したことで、一般消費者でも安定したOSを入手できるようになった。Windows XPはLonghorn ((のちのWindows Vista)) の開発が難航したことで、5年もの間新しいOSが登場しないという状態になっていた。この頃にはインターネットの普及でセキュリティ問題が深刻なものとなったこともあり、Windows XP Service Pack 2以降はセキュリティー対策に力を入れていくことになった。Windows XPは初めて64ビット版(x64)が登場 ((Windows XP Professional x64 Edition、コードベースはWindows Server 2003のクライアント版に相当)) した。

Windows VistaはWindows XPから5年後に登場したバージョンで、Windows AeroやWindows Search、Windows Updateの変更、ユーザーアカウント制御などのUIの改良やセキュリティー機能の充実が図られた。ただし、Windows VistaはXPまでと比較して要求するマシンスペックが非常に高く、当時のPCでは満足に動かせないことがしばしばあったこと、ユーザーアカウント制御の追加によってセキュリティー面では強化されたものの利便性を損ねたために、売れ行きは好調とは言えなかった。

その後、Windows Vistaの改良版に当たるWindows 7が登場、Windows 7では標準アプリケーションのいくつか ((ペイントやワードパッドなど)) がRibbon UIを導入、Windows Aeroの強化 ((Aero SnapやAero Shakeの導入)) 、ユーザーアカウント制御の基準変更が可能になったといった、Windows Vistaで挙げられた不満点の改善がみられる。

Windows 8ではPCとタブレット端末の統合を目論んだ変更点があり、Modern UIの採用、Windowsストアの導入、Microsoftアカウントによるクラウドサービスへの対応といった機能追加が行われた。一方でスタートメニューは廃止され、代わりにModern UIによるスタート画面が追加された。Windows 8ではスタートボタンも廃止されたが、従来のユーザーにとって大きな不満を生み出す結果となり、マイナーアップデートに当たるWindows 8.1ではスタート画面へのリンクとしてスタートボタンが復活した。なお、Windows 8.xではタブレット向けのOSとしてARM版のWindows RTもリリースされたが、利用できるのはWindowsストアアプリとOSに搭載されたアプリのみで、従来のデスクトップアプリは利用できないといった制約も厳しく、普及は進まなかった。

その後、現行バージョンとなるWindows 10がリリースされた。Windows 10ではModern UIがデスクトップに統合されたほか、スタートメニューが復活した ((Windows 10のスタートメニューはWindows 8.xのスタート画面の発展形となっている)) 。また、Windows Internet Explorerの後継としてMicrosoft Edgeが登場した。なお、Windows 10では「Windowsの最後のバージョン」という位置付けがなされており、これまでのバージョンにおいては数年おきにメジャーアップグレードバージョンを提供していたのを、Windows Updateによる継続的なアップデートの配信に転換された。

最後に

すでにWindowsはバージョン1から30年をこえる歴史を持つOSの系列であり、Windows 95からはPC向けOSとして主流となって、20年を超える長きに渡ってIT分野において大きな影響を及ぼしてきている。それには賛否が分かれるものも少なくはなく、今日ではスマートフォンやタブレットと競合している面もあり、Windowsの立ち位置も変わってくる可能性はあり、生き残りに向けてどんな戦略が立てられるのだろうか?個人的には今後も動向をみていきたいと考えている。

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