バーチャルボーイを考察してみる

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バーチャルボーイに関する記事についてはバーチャルボーイの画面は精神衛生上良くないなで取り上げたことはあるが、最近ではVRをはじめとした、ゴーグル型のディスプレイを使うようなデバイスの進歩が著しく、もう一度取り上げてみたかったため、今回、バーチャルボーイを取り上げてみたい。

バーチャルボーイは、1995年に任天堂が発売した、左右別の画面を表示させて、それぞれの視差を利用して立体視を再現できるという、当時としては極めて画期的なシステムだった。そのコンセプトはのちにNintendo 3DSやVRなどに役立てられているなど、技術・アイデア面では大きな影響を与えた一方、様々な問題から消費者からはほとんど見向きはされず、商業的には失敗に終わったゲーム機でもある。

バーチャルボーイが失敗に終わった原因は技術的制約によるものが多く、登場が「早すぎた」ことによるものが散見されるという指摘がある。

例えば、バーチャルボーイでは、赤色LEDを使用して画面を表示しているが、これは利用者にとっては、精神衛生上望ましくないものであった模様で、不評の原因の一つと言われている。これは、当時のLEDでは、赤色または黄緑色のLEDしか量産されておらず、光の三原色を再現できないこと、製造・調達コストを考慮すると赤色が最も安価だったということが考えられる。

また、液晶+バックライトということも考えられるが、これも当時は現在ほど高解像度のものはなかったことと、バックライトの消費電力の問題があったという側面から、困難だったことも考えられる。

このほかにも、回路の集積度の限界から筺体サイズも大きくなってしまい、頭に装着させるには厳しく、机の上に置いてプレイすることを余儀なくされるほどになっているといった問題から、結果としては、中途半端で利用者にとって遊びやすいハードではなかったという側面があったことがうかがえる。

今日では、ハードウェアの性能向上及び小型化が可能になったこと、それによって、制約が緩和されたといったことから、バーチャルボーイで提案された方向性を違った形ではあるものの、それを大きく上回る形で実現できるようになったということが考えられる。

昔登場したハードウェアのコンセプトと、現在のトレンドを見比べてみると、先見性こそあれど技術的制約から当時は失敗に終わったものが、現在形を変えて実現しているものもあるというのは実に興味深いものである。

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