今は昔、80年代後半から2000年代にかけて現在PCにおいて首位に立っているWindowsと競争を繰り広げては敗れ、忘れ去られたOSがある。それが「OS/2」である。今回はそんなOS/2について触れてみたい。
OS/2は、80年代のPCによく使われていたMS-DOS(IBM PC向けにはPC DOS)の後継となるOSとして、IBMとマイクロソフトが共同で開発、1987年に最初のバージョンがリリースされたOSである。
このOS/2では当時のMS-DOSではシングルタスクが基本で、当時はMS-DOSのデスクトップ環境であったWindowsでも限定的なマルチタスクにとどまっていたのに対し、OS/2では最初のバージョンから16ビットながらも完全なマルチタスクをサポートしており、当時としては画期的な機能を持つPC向けOSとして登場した。
OS/2では最初のバージョン1.0においてはGUIを持たず、コマンドラインやテキストベースのUIしか持っていなかったが、後継バージョンとなる1.1では当時のWindows 2.0に近いGUIを搭載、1.2ではWindows 3.0に近いものとなった。
初期のOS/2においてはマイクロソフトとIBMの共同開発であったが、1.2のリリース後にマイクロソフトはOS/2の開発から離れ、Windowsの開発に専念するようになった。以降はIBMの単独開発となった。
バージョン2.0からは32ビットへ移行を果たし、複数のDOS仮想環境(MVDM)やWindows 3.xの仮想環境(WIN-OS/2)を搭載し、互換性を残しつつも高機能のOSとしての立ち位置を持っていた。
その後、1995年に発売されたバージョン3からは、「OS/2 Warp」として、当時の家庭向けPCである「Aptiva」に登場するといった、一般家庭での普及を進めるための活動が行われたが、後にマイクロソフトより登場したWindows 95にシェアを奪われる結果となった。
その後もOS/2は新しいバージョンが登場し、1996年にはWarp 4、2006年末を最後にサポートが終了した。
IBMによるサポート終了後も、以下の後継にあたるOSが登場している。
- eComStation (開発終了)
- ArcaOS (開発中)
今日ではOS/2は過去のものとなったが、PCやWindowsの歴史においては80〜2000年代においてWindowsに触れる上で関わってくるOSなので、是非とも記憶の片隅に置いておくとよいだろう。
ウェブマスター。本ブログでITを中心にいろいろな情報や意見などを提供しています。主にスマートフォン向けアプリやウェブアプリの開発に携わっています。
コメント