先月ではついにWindows XPのサポートが完全に終わり、もうWindows XPを使い続けるのはセキュリティー上危険と言われており、新しいバージョンのWindowsにアップグレードあるいは買い変えるなどの対処が必要となっているだろう。
さて、PCを買い変えるだけの費用あるいはWindowsを買うコストを抑えたいと考える人もいるだろう。そうであれば自由に使えるGNU/Linuxシステム ((一般的には単にLinuxと呼ばれている)) 以下の人であればLinuxに乗り換えるのも良いだろう。
- インターネットとメールだけで十分
- とにかく徹底的にコストを抑えたい
- ほか
では、そんなときのためにLinuxおよびどんなディストリビューションを選べばいいのか説明したい。
Linuxとは厳密に言えばリーナス・トーバルズ氏が中心となって開発した自由に使えるOSのカーネルである。しかしながらこれ単体では動かないので、一般的にはリチャード・ストールマン氏が中心となったGNUプロジェクトのプログラムを合わせたGNU/Linuxシステムのことを単にLinuxと呼ばれている。それを一般的なユーザーでも使いやすくパッケージにおさめたものをLinuxディストリビューションである。通常はそれを使うだろう。
さて、Linuxディストリビューションは多数あるので、何を使えばいいのかわからないだろう。もしはじめてLinuxを触れるのであれば以下のディストリビューションがおすすめである。
Ubuntuはcanonicalより提供されているディストリビューションで、2010年まではDistroWatchによれば最も人気のあるディストリビューションとして知られている。インストールがきわめて容易で、最初からインターネットサーフィンやメール、オフィスソフトなどが使えるようになっている。日本語対応もLinuxの中では強力で、特に日本語環境に特化したRemix版があり、それほど問題となることは無いだろう。一方で、操作体系がUnityで、タブレットおよびタッチパネル環境に特化されたデスクトップ環境となっているため、最初は操作に戸惑う可能性がある点に注意が必要。
DebianはUbuntuの原型となったディストリビューションで、今でもコミュニティーを中心に開発が進められている。安定性が高いと言われており、世界的には特にヨーロッパ諸国を中心にサーバー用途で利用されているケースが多い。かつてはインストールが非常に難しいといわれていたが、ver.7.5においてはubuntuと比較すると若干敷居が高いという程度になっている。安定したOSを使いたい方にはぜひ候補に入れておきたい。
Linux MintはUbuntuおよびDebian派生のディストリビューションで、2011年以降では世界的には最も人気のあるディストリビューションといえる。インストールの容易さについてはUbuntuを引き継いでいるといえる。なお、インターフェース面ではCinnamonまたはMATEが採用されており、なおかつWindowsに近づけられているのが特徴。Ubuntuとは違い、日本語対応は若干貧弱で、独自の設定が必要になる点は要注意。
openSUSEは元々はドイツのSUSEという会社から始まり、ノベルに続いて、コミュニティーベースによる開発へと移っていったディストリビューションで、比較的インストールは容易で、YaSTと呼ばれる管理ツールを用いてシステムの設定を比較的容易に変更できるのが特徴である。KDEおよびGNOMEがデスクトップ環境として採用されているが、いずれもWindowsと操作性を近づけるようにカスタマイズされているため、それほど戸惑わないように配慮されていると言える。
最後にCentOS。これは企業を中心に利用されているRedHat Enterprise Linuxのクローンで、実質的にRHELの無料版として使われているOSである。日本においてはRHELとあわせてサーバー用途でトップクラスの人気を誇っており、安定性も高いといわれている。また、サーバー用途として使うにあたって日本語での情報が最も多く、わからないことがあったらこれを利用するのが最適と言える。若干ソフトウェアが古いのが難点 ((最新バージョンの6.5でもカーネルは2.6系列、ここであげたディストリビューションでCentOS以外はすべて3.x系以降となっている)) 。
他にも多数ディストリビューションがあり、悩ましいところとは思われるが、上記の情報も参考にして、ディストリビューションを選んでいただければと考える。
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