何を今更感があるものの、フリーソフトウェア(Free Software)とフリーウェア(freeware)は厳密には別の概念である。「フリー」の意味合いから両者は混同しがちだが、フリーソフトウェアは「自由なソフトウェア」、後者は「無償のソフトウェア」にあたる。
フリーソフトウェアとは
フリーソフトウェア、すなわち「自由なソフトウェア」は、その名の通り自由に使うことができるソフトウェアのことである。
フリーソフトウェアでは、ソフトウェアをただ利用するのみならず、ソースコードを入手して、ソフトウェアの改変や再配布などにおいても自由に行えることが特徴である ((正確には各々のライセンスに従う必要があり、基本的にはソフトウェアの著作権表記、ライセンスによっては再配布の際にも元となったソフトウェアのライセンスを継承する必要があるなどの一定の制約はある)) 。
したがって、この定義でのフリーソフトウェアは配布する際に無償である必要はなく、有償で配布した場合も自由に使えるソフトウェアであればフリーソフトウェアということになる。ただし、実例では大半のフリーソフトウェアは無償で配布されているようである。
フリーウェアについて
対してフリーウェアは、「無償で使えるソフトウェア」であり、利用の際に費用が発生しないのが特徴である。
フリーウェアではそのソフトウェアが自由に使えるかどうかはライセンスにより、前述の「フリーソフトウェア」にも該当するソフトウェア以外はソースコードが提供されていない、改変や再配布などが許されないものも少なくない。
なぜ混同されるのか
現実問題として、フリーソフトウェアとフリーウェアは混同しがちである。というのも、「フリー」には「自由」という意味でも「無償」という意味でもあるからである。
また、多くの「フリーソフトウェア」は無償で配布されている「フリーウェア」にも該当するといえることも、混同される要因になっているのではないのだろうか。
両者を明確に区別する表現
日本語においては、「フリー」の意味を区別する表現として「自由」と「無償」といった言葉があるため、自由であることを強調するには「自由なソフトウェア」、無償であることを強調するには「無償のソフトウェア」と表現できる。
なお、英語圏では自由なソフトウェアであることを強調するために、「software libre ((「libre」はラテン語で「自由」という意味))」などのように表現することもあるという。
最後に
今回はフリーソフトウェアおよびフリーウェアの定義とそのわかりづらさなどを書いてみたが、現実問題として「フリー」が複数の意味を持ってしまっているため、「自由」なのか「無償」なのかどうしても混同しがちとなっている。
その対策として、両者を明確に区別できる表現が作られたり、使われたりすることも少なくない。
フリーソフトウェアおよびフリーウェアという言葉には要注意である。
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