ブロードバンドはバグ対策のあり方を変えてしまったか

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今日においては、コンシューマーゲームやスマートフォンアプリ、あるいはPCアプリなどがリリースした後、必ずと言っていいほど修正プログラムが公開されている。これはインターネット、特ににブロードバンドが普及するまでは考えられないことであったと言える。ブロードバンドの普及が修正プログラムの配布を容易にしたというのが大きいのだろう。

インターネットそのものが普及する前、普及しても電話回線やISDNなどのナローバンドが主流だった時代は(定額制がなかった時代は特に)常時インターネットに接続するということが考えられず、オンラインでの修正プログラムの配布は考えづらいことであった。

そのため、当時のソフトウェア開発は一度リリースしたら基本的にはもう修正はできないと考えられ、徹底的にデバッグをしなければならなかったものと考えられる ((ハードディスクにインストールする形式などのソフトウェアでは修正プログラムの配布などを行うことが考えられたが、そうではない場合、例えばコンシューマーゲームのROMなどでは交換対応などをする必要があり、かなりのコストがかかることが想定された)) 。それでもファミリーコンピュータのルート16ターボ(サン電子)における9面バグ ((9面で全てのアイテムを取ってもクリア扱いにならず、ゲームオーバーを待つだけになってしまう問題)) や初期のポケモンにおける各種バグなど、解消しきれないバグが話題となったこともあった。

今日においては言語環境の強化はあるものの、ソフトウェアの規模が大きくなり、あるいは短期間での開発が必要になった関係、また、インターネット環境、特に常時接続のブロードバンドの普及によって、PCやスマートフォン、タブレットはいうまでもなく、コンシューマーゲームでさえもソフトウェアのオンラインアップデートが可能になったことから、ある程度バグがあっても致命的なものがなければリリースしてしまって、問題が発生した時に修正プログラムを配布するという形式がかなり広まっている。

当方もアプリを開発者であり、実際に業務で幾つかのアプリをリリースしたことがあるが、できればバグがない状態でリリースしたいものではある。しかしながら、現実問題として特に規模が大きくなればなるほど、全体を把握するということは困難あるいは不可能となり、バグの数を限りなく0に近づける以上のことができないのである。しかも、バグの中にはアプリに起因するものだけでなく、OSやハードウェア、ドライバーなどに起因するものもあるため、その点でも完全にはいかないのが難しいところだが。

コンピューターを取り巻く環境の変化によって、開発の考え方も変わっていくのだろう。バグ対策のあり方もその例なのだろう。

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