2017年3月にAMDよりRyzenが発売されてから、ようやくPC向けのCPUにおけるインテルの独走状態に待ったがかけられた形となったが、今回はAMDのCPUの経緯について、軽くおさらいをしてみたい。
もともとは、AMDはインテルのセカンドソースでCPUなどを製造するメーカーのひとつだった。これは、当時のインテルは業績が今日と比較して乏しく、製造能力も高くなかったことによるものと、IBM PC向けに搭載するCPUについて、IBMがセカンドソースを認めるように要求していたことによるものである。その後、1985年に発表された80386以降はインテルはセカンドソースの方針を破棄したことにより、互換CPUの製造に方針転換を行なった。
なお、当時はAMDの他にもインテルのセカンドソースCPUを製造するメーカーはあったが、80386での方針転換でその多くが撤退、いくつかの企業では互換CPUを製造していたが、性能向上に対抗できず、CPU市場から撤退または組み込み向けに方針転換をした結果、劣勢を強いられながらもインテル互換のCPUの製造を継続していた。
その後、1999年にはAthlonの登場、Pentium IIIと競合し、初めて1GHzを達成したCPUとして発表された。その後はクロック周波数の向上の限界のためか、Athlon XPではクロック周波数以外での性能向上に向かった ((Pentium 4では高クロック周波数路線により、最終的には3.8GHzにまで高まるが、消費電力の問題から高IPC路線へと向かう)) 。
その後、x86系と互換性を確保した64bitアーキテクチャーであるx86-64 ((インテルではIA-64と呼ばれるアーキテクチャーの開発を進めていたが、こちらはx86系とは全く別のアーキテクチャーで、互換性はない)) に対応したOpteron及びAthlon 64をリリース、この成功によりインテルも互換CPU ((Intel 64)) をリリースするようになった。その後、2005年にはデュアルコアモデル ((Athlon 64 X2)) が登場した。
2006年にはCore 2 Duoが登場、性能面でAthlon 64 X2を超えるものとなっていたことを機に、AMDにとっては厳しい時代が始まった。AMDでは以下のCPUが登場していたが、コストパフォーマンスは悪くはないものの、ハイエンドでは優位性を出せない状態が続いていた。
- Phenomシリーズ
- Turionシリーズ
- Athlonシリーズ
- Opteronシリーズ
- AMD FX
- AMD APU
- ほか
その後、2017年にRyzenが登場、ようやくハイエンドでインテルに対抗できるようになったと言える。
今後、AMDが本当に復活を果たせるかどうかは、これからにかかってきそうである。
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