辞書類で、国語辞典や英和辞典などで使われている「辞典」のほか、百科事典などに使われている「事典」、そして、「字典」の三種類がある。この違いがなかなかわかりづらいが、ある程度の法則性がある。ここではそれについて書いてみたい。
「辞典」は主に言葉を扱っている
まず、「辞典」(ことばてん)から入りたい。辞典は「ことば」の意味を説明する辞書であり、国語辞典であればその単語がどういう意味なのかを説明しており、英和辞典であれば訳語が書かれている。また、辞典や単語によっては、その単語がどういう使われ方をしているのかといった説明が加えられることもある。
外国語に訳すと、英語では「dictionary」、中国語では「词典」となる。
「事典」では物事を主に扱っている
一方、「事典」(ことてん)では、歴史上の出来事や発明品など物事を主に扱っている。言葉の意味を扱っている場合もあるが、メインは物事を扱うことにある。事典というと、様々な物事を扱った「百科事典」が有名だろう。これは英語では「encyclopedia」、中国語だと「百科全书」である。なお、日本語でも「百科全書」という言葉があり、これはやや古い呼び方である。
「字典」は文字を扱う
「字典」(もじてん)では、文字に着目したものである。日本においては、字典というと、主に書道で扱われる、漢字および仮名の字体の説明として使われることが多い。
「漢和辞典」はなぜか「字典」ではない
一方、漢字の読み方と意味を説明する「漢和辞典」はなぜか「字典」ではなく「辞典」となっている場合が多い。漢字という「文字」を扱っていることから「字典」となるように考えられる ((実際に、「漢和字典」という表記はある。また、中国語においては字に着目したものは「字典」と呼ばれる。)) 。一方で、漢字は表語文字と呼ばれ、その字には音と意味の両方が含まれていることもあって、文字と言葉が密接に繋がっているという特徴があるからなのかもしれない。
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