最近では、GNU/LinuxシステムがフリーのUnix系のOSとしてはよく知られたものとなっているが、それとは別にFreeBSDをはじめとしたフリー系BSDという、別系統のUnix系システムの系譜を持ったシステムがある。今回はそれについて、いろいろ書いてみたい。
さて、BSDとは何か。これは、Berkeley Software Distributionの略で、元々はカリフォルニア州立大学バークレー校のコンピューターシステムズリサーチグループ(CSRG)がAT&Tの支援のもとで1977〜1995年にかけて開発・配布されていたUNIX OSおよびツール類である。
1980年代においては、商用UNIXの多くがBSDを採用、1990年代ではSystem V Release 4およびOSF/1に取って代わられたが、それらにもBSDが取り込まれているという。
BSDにおいては、AT&Tのコードを含んでおり、ライセンスが非常に高価だったことから、4.3BSDにおいて、AT&Tとは関係のないコードをフリーソフトウェアのライセンス(BSDライセンス)でNetworking Release(ネットワーク関連のコードだけのNet/1、およびAT&T由来のコードを置き換えてほぼ完全なシステムとしたNet/2)がリリースされた。Net/2をベースとして386BSD、そして現在のFreeBSDやNetBSDに繋がるはずだった。
しかしながら、Net/2のライセンス問題を巡ってAT&TのUNIX Systems Labolatories(USL)との訴訟問題に発展、その過程でAT&T由来のコードが含まれていた一方で、System V Release4にもBSDのコードがライセンス違反で利用していたことで、バークレー校に有利な形での和解となった。その後、4.4BSDが配布、AT&Tのライセンスが必要な4.4BSD-Encumberedと不要な4.4BSD-Liteが配布された。4.4BSD-Lite Release 2を最後にCSRGは解散となったが、これをもとにFreeBSDやNetBSDをはじめとした主要なBSDの子孫が現在も開発・配布され続けている。
上記の訴訟でNetBSDやFreeBSDの開発が停止されたことが影響して、結果的にGNU/Linuxシステムが支持される主要因となったと言われている。
さて、今日におけるフリー系BSDでは以下が有名である。
- NetBSD
- FreeBSD
- OpenBSD
- DragonFly BSD
NetBSDは、これらの中では最も古くからプロジェクトが始まっており、1993年4月に最初のバージョン0.8が公開された、対応しているアーキテクチャーの種類の多さに定評があると言われている。
FreeBSDはNetBSDについで歴史あるプロジェクトで、1993年12月に最初のバージョン1.0が公開された。バージョン2.2以降ではLinuxとのバイナリー互換機能も搭載され、Linuxとの互換性を確保しようとしている傾向にある。
OpenBSDはNetBSDから派生したプロジェクトで、主にセキュリティー面の強さに定評がある。デフォルトのインストールではリモートから攻撃可能なセキュリティーホールが10年間で2件しか発見されなかったと言われている。
DragonFly BSDはFreeBSDから派生したプロジェクトで、FreeBSDとは違った方向性のマルチプロセッサ対応が行われているという。カーネルモデルに変更が加えられていて、ハイブリッド方式となっている(他はモノリシックカーネルが採用されている)。
紆余曲折を経て現在に至るフリー系BSDだが、今日も開発が続いており、着実に発展しているようだ。
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