他人事は「たにんごと」ではない

最近では「他人事ひとごと」を「たにんごと」と読んでしまうことがしばしば見受けられるが、実はこれは誤った読み方である。ここでは、なぜそのような読み方ができてしまったのだろうか?今回はこの経緯を踏まえつつ考察を述べてみたい。

「自分には関係のないこと」の言う意味での「他人事」は、もともとは「人事」と表記していた。このことは今日の主要な国語辞典で「ひとごと」で調べた場合、漢字表記では「人事」が最初に表示され、続いて「他人事」が表示されていることからもわかる。

その後、組織の用語として「人事じんじ」が使われるようになり、「人事」の表記だと振り仮名または前後の文脈がないと全く区別ができない状態になってしまった。そこで、区別を付けるようにするために「他人事」の表記が使われるようになったといわれている。そこからさらに「たにんごと」と誤って読まれるようになってしまった経緯があるといえる。

上記の経緯を踏まえて、NHKによれば、日本国内の主要な新聞社・通信社では「ひとごと」や「人ごと」と表記をしているといわれている。1

  1. 「ひとごと(人事)」と「たにんごと(他人事)」』– NHK放送文化研究所 ↩︎

最近ではかなりの割合で「他人事」を「たにんごと」と読まれている現状に違和感を禁じ得ないが、言葉は変化していくものであると捉えるしかないのだろうか?

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