近年からアップルではiOSデバイスと同じARMアーキテクチャを採用したMacの開発を行っており、いずれはIntel x86アーキテクチャからARMアーキテクチャへ移行するという噂がある。個人的にはその可能性は十分にあるがこれまでと比較して移行の障害となっている要素に大きいものがあると考えている。その点について、自分なりに述べてみたい。
Macの場合、これまでより数回アーキテクチャを移行した歴史がある。当初(1984年の初代Macintosh 128K)はMC68000系、1994年より発売されたPower Macintoshから一部のエントリーモデルを除きPowerPC系、そして2006年より発売されたMacBook Pro及びIntel版iMacから現在に至るIntel x86系と変遷している。その前例を踏まえると10〜12年前後のスパンでアーキテクチャが移行しているため、およそ数年後にはARMアーキテクチャに移行していてもそれほど違和感はない。
アップルの場合、アーキテクチャの移行の際にある程度容易に乗り換えられるように一定の期間は互換性をつけている場合が多い。MC68000系からPowerPC系への移行におけるコード変換機能及びファットバイナリ、Classic系 ((Mac OS 9まで)) からOS X ((当時の名称はMac OS X)) への移行の際のClassic環境 ((Intel Mac及びLeopard以降で廃止)) 及びCarbon API、そしてPower PC系からIntel x86系への移行の際のRosetta ((Lion以降で廃止)) 及びUniversal Binary ((これはx86系でも32ビットから64ビットへの移行にもしばしば使われる)) などが移行を容易にするために導入されて、一定期間が経ったら削除というパターンがなされる傾向にある。
ただ、今回噂されているARMへの移行については障害となる要素で大きいものがある。それはx86系へ移行することによって得られたPCとの親和性、特にWindowsなどをBootCampあるいは仮想化などを使って比較的快適に使える利点を失う可能性があるということである。なんらかの方法でMacにWindowsをインストールして利用するユーザーも存在しており、そのユーザーにとってはARMアーキテクチャへの移行によって不便を強いられるからである。もっとも今日ではエミュレータや仮想化などが発達しており永久に使えなくなるということはないと考えられるが、アーキテクチャの違いによるパフォーマンスの悪化は避けられないだろう。あるいは意図的に切り捨てる可能性も否めないのも事実ではあるが。
上記からMacがARMアーキテクチャへ移行する可能性はあるが、移行における障害要素を考えると確定的とは言えないのが個人的な感想である。
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