麻疹はおそろしい感染症

2024年に入ってから国内でも麻疹はしかの感染者の報告が増えており、厚生労働省や自治体が注意喚起をしている。麻疹は感染力の強さ、発症した場合の症状の重篤じゅうとくさや死亡・予後不良のリスク、有効な治療法が確立していないことからおそろしい感染症のひとつとしておそれられている。ここでは麻疹についてとその対策法について記述したい。

麻疹とは

麻疹(読み: はしか, ましん, 英語: measles)は、麻疹ウィルスの感染によって発症する感染症で、発症した場合、風邪のような症状と体中にあらわれる発疹などの症状があらわれ、その様子が麻の実のようにみられることから中国語で「麻疹」と名付けられている。

麻疹はかつてより「疱瘡ほうそう見目定みめさだめ、麻疹ましんは命定め」と語られるほどに、死亡率の高い感染症としておそれられており、発症した場合、今日においても医療が充実している先進国では0.01〜0.03%ほどの死亡率、医療が充実していない発展途上国では10〜30%ほどにまで達すると言われている。また、脳や神経系、呼吸器系などに合併症を引き起こすことがあり、後遺症が出ることもある。

発症した場合の有効な治療法はなく、解熱鎮痛剤などの投与といった対症療法を講じて快復を待つしかない。

また、感染力は極めて強く、同じ空間に麻疹の患者といるだけで感染し、マスクや手洗いでも防げず、空気感染や飛沫感染、接触感染などが挙げられる。

このことから、麻疹がおそろしい感染症のひとつといえる。

一方で一度罹患したあとは免疫によって麻疹ウィルスに感染しても発症することがほとんどないとされることから、かつては「一度かかったら二度とかからない」といわれたこともあった。しかしながら、今日では衛生環境の変化と麻疹の全容が解明されたことで、免疫のある状態で度々麻疹ウィルスに感染することによって免疫が維持されてきたことが考えられ、二度かかる可能性のある感染症へと変わってきた。

麻疹への対策法

麻疹への対策法として有効な方法が一つだけある。それがワクチンによる予防接種である。これによって麻疹を発症した場合と比較して死亡や後遺症リスクが低く安全に免疫を獲得することができる。

麻疹ワクチンによる予防接種では1回の接種では95%の人が免疫を獲得でき、1回の接種では免疫を獲得できなかった人の多くも2回目の接種で免疫を獲得できると言われている。

麻疹ワクチンや麻疹混合ワクチンによる予防接種で麻疹による死者を大幅に減らすことに寄与している。

しかしながら、近年では予防接種率の低下が指摘され、それによって麻疹が流行の拡大が見られることから、いかにして予防接種による集団免疫の確立・維持が課題となる。

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