Windows 10はXPや7にあたる存在になれるか

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XPからWindows 7へ移行進む – 3月OSシェア』(マイナビニュース)によれば、すでにメインストリームサポート ((最新版のWindowsがリリースされた時に、5年間またはその次のバージョンのWindowsがリリースされてから2年後のいずれか長い期間のサポート期間で、セキュリティー関連のみならず、新機能の提供がなされる)) が終了し、延長サポート ((メインストリームサポート終了後に行われる5年間のサポート期間。セキュリティー関連のみのサポートがなされる。)) に移行したWindows 7が依然として過半数のシェアを誇り、サポート自体が完全に終了したXPでさえ15%以上のシェアを持つ一方、現時点でメインストリームサポートがなされているWindows 8.xはXPと同程度以下になっており、依然としてWindows 8.xへの移行は進んでおらず、商業的には失敗に終わったと言える状態となった。

これまでのWindowsの傾向を見ている限り、Windows 2000あるいはWindows Meに対するWindows XP、Windows Vistaに対するWindows 7と言えるような一種の傾向が確認できる。

まず、Windows 2000はNT系 ((Windowsの系統の一つで、当初は主にビジネス用途に作られており、比較的優れた安定性を誇っている。XP以降はホーム用途にも使われるようになり、現在のWindowsの主流の系統となっている。)) としては初めて一般家庭向けにも提供することを想定していたOSだったが、ビジネス用途としては成功をおさめたものの一般家庭向けとしては敷居が高いとみなされており、一般家庭向けには代わりに9x系 ((Windowsの系統の一つで、Windows 95、98、Meがこれにあたる。かつては一般家庭向けに使われていたが、MS-DOSとGUIプログラムを組み合わせた構造上、安定性に難があり、XP以降はNT系に置き換えられた。)) のWindows Meがリリースされたが、無理やりマルチメディア機能などを拡張したために失敗作と揶揄されるほど不安定と言われていたといった問題点があった。

それに対してWindows XPはNT系としては初めてビジネス用の安定性・一般家庭用の扱いやすさの両方を兼ね揃えたOSとして人気を博した。それも、後述のVistaの問題点などから依然としてXPを使い続ける利用者が後を絶たないなどの問題を引き起こすほど根強いものとなった。

Windows VistaはかつてはLonghornとして知られたOSで、XPまでとは大きく異なるシステムが追加された。しかしながら、Vistaがリリースされるまでの間にコンピューターウィルスの大規模感染を契機としたセキュリティー対策 ((これはWindows XPにも影響を与えており、その多くがサービスパック2にフィードバックされている)) などが影響して、開発が難航、2007年になってようやくリリースされるものの、当時としてはかなりのマシンパワーを必要とするOSとなってしまい、「XP以前との互換性が低い」「重い」と不満点の多いものとなり、商業的には失敗に終わった。セキュリティー面では特に個人利用者に見られたパスワードなしで管理者権限付きアカウントを使うという事態が往々にしてあり、セキュリティー上危険だったのが、ユーザーアカウント制御によって、普段は管理者権限なしの状態で利用、管理者権限が必要な時だけ昇格するという方式がとられるようになったが、(セキュリティ上望ましいものの)うざさが目立って却って不評の要因になったものと考えられる。

Windows 7ではVistaと比較すると動作が若干軽くなり ((要求されるマシンパワーはVistaとほぼ変わらないが、この頃にはVistaを快適に動かせるマシンが増えた)) 、ユーザーアカウント制御については若干大人しくなったこと、また、この時にはXPマシンが古くなったなどで買い替え需要が増えたことなどで、順調にシェアが伸びた。昨年にはXPのサポートが完全に終了したことと、後述の8.xの問題点などが7のシェア増加の要因となっていることが考えられる。

Windows 8.xは発売当時はタブレットが普及したことが影響してか、これまでのデスクトップ環境にModern UIとWindows Storeなどタブレットを意識した機能が追加された。従来のスタートメニューは廃止され、基本的にはModern UIのスタート画面からModern UIあるいはデスクトップアプリを起動するように変更された。しかしながらこれはこれまでの利用者にとってはこれまでの操作が通用しなくなることを意味しているほか、デスクトップにおける利便性が低下したという点などで不評を買ってしまった。個人的にはModern UIやWindows Storeなどで利用者にとっても比較的安全にアプリをインストールして使えるという意味ではむしろ喜ばしいこととはいえるのだが。とはいえ、Windows 8.xの段階ではModern UIとデスクトップが完全に分けられてしまっており、デスクトップアプリを使うにはデスクトップを、Modern UIアプリを使うにはModern UIに切り替えなければならないのはかなり不便に感じる。

Windows 10ではWindows 8.xでいうスタート画面がデスクトップ内のスタートメニューとして使えるようになるそうだ。また、Modern UIアプリをデスクトップ上にウィンドウで表示することができるようになるなど、デスクトップとModern UIの境目が緩和されるなど、デスクトップユーザーにとって不便だった部分が改善されるようだ。

上記を考えてみると、(Windows 2000は失敗作とはいえないが)新機能や要素などを追加して新バージョンをリリースして商業的に失敗し、そこで出た問題点をある程度解決してリリースしたバージョンをリリースして成功するという状況が見られる。Windows 10はWindows 8.xの商業的失敗を克服して成功をおさめることができるのか、個人的には期待したいところである。

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