現在、スマホ及びタブレット向けに(AppStoreやGoogle Playなどで公開されているような)アプリを開発するには基本的にはPCと統合開発環境、及びSDKなどを使ってアプリを開発しているが、今後スマートフォンやタブレットで直接開発できるようになるのかどうかを考えてみるとどうだろうか。
個人的にはスマホ、あるいはタブレットで直接アプリを開発するのは、将来的にも絶望的と見ている。これには、デバイス上の理由と、プラットフォームとしてのあり方を考える上での方向性などの理由から挙げられる。
現状のアプリ開発では開発環境としては以下の条件が必要になる。
- 一定以上の性能を持つCPU
- 十分なメインメモリー
- 容量の多いストレージ
- グラフィック機能
- 大きな画面(できれば複数のディスプレイ)
上記の条件を考えるにあたって、開発環境を使うとした場合、スマートフォンやタブレットでは上記の条件を満たしているとは到底言えない状態になっている。特にスマートフォンやタブレットは基本的に文字入力の際は専用のキーボードではなく、タッチパネルのキーボードを使うため、その分画面領域が狭まってしまい、通常のテキスト入力以上にコード入力の面で大きな支障をきたしてしまうのである。
性能面でも多種多様なアプリを同時に動かすことが往々にしてあり、それに十分耐えられるだけの性能を持つPCと比較しても、スマホやタブレットは基本的には1つのアプリをメインで扱うことがほぼ前提となっているため、それを考えても性能面で開発環境が扱えるかどうかについては甚だ疑問である。
もう一つは、プラットフォームとしての方向性である。PCでは基本的には設定やアプリの利用の自由度がかなり高く、専門的なツールも扱えるようになっているが、スマートフォンやタブレットは基本的にはアプリストアにあるものを使うことが前提となっている。特にアプリストアのアプリは想定しないような動作をできるようなアプリを排除する傾向が強く、統合開発環境はそれの原因となる可能性が高いことを考えると、スマートフォンやタブレットでアプリを開発できるようになることはないと考えたほうが良いだろう。
私も時折「こうしたらどうなるだろうか」ということを考えてみたのだが、「スマホやタブレットでアプリ開発」というテーマで考えた時、とてもではないけれど上記の問題から現実的ではないだろうなと考えるに至った。もっとも、環境の変化で状況が変わる可能性は否定しないが、とてもじゃないけれど現時点では考えられないだろうな。
ウェブマスター。本ブログでITを中心にいろいろな情報や意見などを提供しています。主にスマートフォン向けアプリやウェブアプリの開発を携わっています。ご用の方はコメントかコンタクトフォームにて。