2020年12月8日にThe CentOS Projectは、開発の重点をCentOS Streamに移し、CentOS Linux 8のサポートを2021年末で終了することを発表した ((CentOS Project shifts focus to CentOS Stream – The Blog.CentOS.org)) ((CentOS 7のサポートは従来通り2024年6月30日まで継続される)) 。この方針転換をめぐって、これまで運用でCentOSを使っていた利用者に影響を与えているという。
CentOSはRed Hat Enterprise Linux(以降、略称の「RHEL」と表記)と互換性を持つことを目的に有志のボランティアにより開発されたディストリビューションとして知られている。これは、RHELをベースに商標や商用パッケージなどを除去した上で配布されている、いわゆるRHELクローンである。
当初はレッドハット社はCentOSには関与していなかったが、2014年よりプロジェクトの支援をするようになったが、CentOS 7までは従来通りのRHELクローンの立ち位置が続いていた。
CentOS 8では従来通りのRHELクローンの立ち位置にあるCentOS Linuxと、従来とは逆にRHELの開発版にあたるCentOS Streamが登場した。CentOS Streamは最新の技術を積極的に導入するFedoraと商用サポートを行うRHELの中間に位置し、Fedoraで行われた更新を取り込み、その成果をRHELへ反映させるという、FedoraとRHELの間にあるギャップを埋めることが目的とされているという。2020年12月8日に発表された方針転換は、従来のRHELクローンとしてのCentOSを終了させて、RHELの先行版といえる立ち位置に変わるものであると言える。
したがって、従来のRHELのクローンとしてCentOSを利用していた利用者にとっては、CentOSを安定版として使えなくなることを意味しているものであり、当該方針転換に怒りの声が上がっているという。これに対応して、CloudLinuxからはAlmaLinuxが、CentOSプロジェクトの創設者であるグレゴリー・クルツァーが率いるRocky Linux ProjectよりRocky Linuxが発表された。2021年2月6日時点ではAlmaLinuxはベータ版のインストールメディアが提供、Rocky Linuxはリリースはまだの状態であるが、いずれもRHELクローンを目指して開発が進められているという。
The CentOS Projectの方針転換は大きな影響を及ぼすものであり、特にこれまでCentOSを使って運用していた利用者にとっては大きな方針転換を迫られるものであるため、望ましいことではないのだろう。とはいえ、不満に対する受け皿が登場しつつある点では、自由なソフトウェアだからこそできるといえるのだろうか。
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