ついにiPhone 15よりUSB Type-Cへ移行完了

2023年9月22日に発売されるiPhone 15およびiPhone 15 Proシリーズではこれまで長く用いられていたLightningコネクタに代わり、USB Type-Cコネクタへの移行が行われることが確定となった。今回はiPhoneシリーズで用いられていたコネクタの変遷の経緯について考察してみたい。

iPhoneおよびiPadシリーズのコネクタの変遷

30ピンDockコネクタ: iPhone登場前〜初期のiPhoneシリーズ

iPhone/iPadシリーズのうち、最初期で導入されていた接続コネクタは30ピンDockコネクタと呼ばれるもので、これはもともと初代のiPhoneが登場する前の音楽プレーヤーのiPodシリーズで用いられていたコネクタであり、初代iPhoneではそれを引き継いで30ピンDockコネクタを採用していた。その後、iPhone 4sシリーズにかけて導入されていた。

30ピンDockコネクタは現在のLightningコネクタやUSB Type-Cコネクタと比較すると非常に大きなもので、コネクタの挿入方向も決まっていた。

Lightningコネクタ: iPhone 5〜iPhone 14シリーズまで

Lightningコネクタは2012年に30ピンDockコネクタの後継として発表されたコネクタで、iPhone 5で初めて採用された。Lightningコネクタは最初期のiPhoneシリーズで導入された30ピンDockコネクタから大幅に小型化された8ピンで、さらにどちらの方向でも挿入できるようになった。

Lightningコネクタの採用はかなり長きにわたり、2012年よりiPhoneシリーズやiPadシリーズで採用され続けていた。その後、2020年頃からiPadシリーズではUSB Type-Cコネクタへの移行が始まり、iPhoneシリーズでもiPhone 14/iPhone 14 Proシリーズを最後に、USB Type-Cへ移行することになった。

USB Type-C: iPhone 15シリーズ〜

USB Type Cコネクタはもともとユニバーサル・シリアル・バス(USB)規格のひとつで、2014年に仕様が策定された規格である。従来のUSBコネクタとは違い、Lightningと同様にどちらの方向でも挿すことが可能で、かつコネクタが小型な規格となっている。

アップルにおいては2018年に12.9インチモデルのiPad Pro(第3世代)および11インチモデルのiPad Pro(第1世代)、2020年にiPad Air(第4世代)、2021年にiPad mini(第6世代)、2022年にiPad(第10世代)がUSB Type-Cへの移行がなされているほか、Macシリーズでも2015年に登場したMacBookからUSB Type-Cの採用が始まり、現行モデルではすべてUSB Type-Cのコネクタを備えている。

一方、iPhoneシリーズでは長らくUSB Type-Cへの移行は行われないままLightningを導入し続けていたが、iPhone 15シリーズではじめてUSB Type-Cへの移行が完了したことになる。

USB Type-Cへの移行の契機

EUの指令による影響が大きい

携帯機器において、今日ではUSB Type-Cを導入することが多くなった契機として、EUによる指令『Directive (EU) 2022/2380』によるものが大きいと考えられる。

この指令では携帯電話やノートPC、ゲーム機などの携帯機器の充電規格を統一することで、利用者にとって充電機器の購入コストや廃棄の削減につながることを見込んで提示された。

この指令より、ノートPC以外では2024年12月28日から、ノートPCでは2026年4月28日から対応が必須となり、USB Type-Cに対応しない機器の新規流通が禁止されることになる。

アップルはどう反応したのか

アップル社はiPadシリーズやMacシリーズでは順次USB Type-Cを導入していたものの、iPhoneシリーズでは長らく独自規格のLightningコネクタを導入し続けていた。2021年には1種類のコネクタのみを義務づける規制に対してイノベーションの阻害を招くものとして反対意見を表明していたが、2022年の採択を受けて従う方針を示した。

USB Type-Cへの移行でどうなるか

IPhone 15シリーズでUSB Type-Cへ移行することになったことで、少なくとも今後の携帯機器では少なくともUSB Type-Cコネクタが使われるようになることは確定するようになるため、多くの場合は充電やデータの転送などにおいてはUSB Type-Cを使えば問題なく使えるようになると考えられる。

ただし、その過渡期において、これまで長らく使われていたLightningコネクタはレガシーなものとなり、それに向けた移行が必要になり、一時的には変換コネクタが必要になることは推定される。

現時点ではUSB Type-Cは最も理にかなったコネクタとして広く使われているが、今後もそれが保障されるわけではなく、より理にかなったコネクタが提唱されたときにかのUSB-C指令が枷になる可能性があり、そのときに問題になる可能性は否定できない。

おわりに

今回はiPhone 15が発表、その中でこれまで長らく使われていたLightningコネクタではなくUSB Type-Cコネクタを導入するようになったことから、これまでの流れとUSB Type-Cを導入するに至った流れを記事として書いてみた。

iPhoneユーザーではこれまでLightningコネクタを使っていたが、今後はUSB Type-Cへ完全に移行することになるが、移行後はケーブル類の使い回しがしやすくなるという点では利点となるといえる。今後何かしらの問題を引き起こす可能性は否定できないものの、当面の間は利点が大きいものと考えられる。

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