おおよそ1年半以上前にLinuxディストリビューションを選ぶ及びLinuxディストリビューションを選ぶ (2)において、Linuxディストリビューションの選び方を記載したが、それから今日に至るまで、Linuxディストリビューションの人気などにおいてはそこまで大きな変化はないようである。ここでは、以前書いた記事を元に
Linuxディストリビューションとは
簡単に言ってしまえば、LinuxディストリビューションはLinuxおよび多数のソフトウェアやライブラリーなどを組み合わせてOSとして使えるようにしたものと言えば良いだろう。
というのも、LinuxそのものはOSのカーネルであり、OSを動かすには必要不可欠ではあるものの、それだけではOSとして何もできないのである。なお、当然のことながら、カーネルはLinux以外のほぼすべてのOSにもあり、WindowsではNTカーネル ((Windows NT系の場合、Windows Meまでのいわゆる9x系では別のカーネルが使われていた)) 、OS XではXNUがそれにあたる。今日スマートフォンで使われているAndroidもまたLinuxカーネルが採用されている。
Linuxカーネルそのものが自由なソフトウェアであるためか、それから派生されたディストリビューションも多数に分かれている。
どのディストリビューションを選べばいいのか
Linuxディストリビューションは企業やコミュニティーなどが主体となって開発を行っており、多数のディストリビューションが提供されている。目的やスキルに応じて適切なものを選ぶ必要があるが、その目安はなかなかわかりづらいところである。ここでは、個人的な目安を提示してみたい。
初心者が使う場合
初心者が使う場合は、以下が推奨される。
- Ubuntu
- Linux Mint
- CentOS
- openSUSE
いずれも利用者が多く、コミュニティーが充実しているディストリビューションで、わからないことや困ったことなどがあったらコミュニティーの情報を参照することができるという利点がある。MintはUbuntu派生のディストリビューションであるため、必要に応じてUbuntuの情報が参考になるケースもある。特にUbuntuは日本語環境のサポートが独自のチームで行われており、日本語環境をメインで使うのであればそれを利用するのも良いだろう。
CentOSはRedHat Enterprise Linuxから派生したレッドハットのサポートを不要とするユーザーを対象としたサーバー向けのディストリビューションだが、デスクトップ用途としても問題なく使える。こちらも利用者が多く、かつ安定性が高いとされているため、初心者でもコミュニティーなどの情報を利用して使っていけると考えられる。
openSUSEも利用者の多いディストリビューションの一つである。openSUSEの特徴はYaSTによるシステム管理機能で、これを利用することで多くのディストリビューションでは設定を変更するのにテキストファイルを編集したりしなければならないのが、一元的に管理できるという利点がある。
UbuntuやLinux Mint、CentOSはインストールが極めて容易で、状況にもよるが、ウィザードの内容に従うだけで誰でもインストールができるほどである。openSUSEはインストール面では若干難易度が高いか。
デスクトップ用途
デスクトップ用途であれば、以下が推奨される。
- Ubuntu (Desktop)
- CentOS
- openSUSE
- Linux Mint
- Fedora
- Debian GNU/Linux
初心者でも使えるディストリビューションのすべてが当てはまる。それ以外にはDebianとFedoraが加わるといったところか。
DebianはUbuntuやMintのベースとなったディストリビューションで、それらと比較すると保守的とされる傾向が強く、安定性が高い傾向にある。UbuntuやMintと比較するとインストールの難易度はかなり高く、Ubuntu/Mint特有の機能は使えないが、安定性を重視したユーザーはこれを利用してみるというのもありだろう。
Fedoraは実質的にRedHat Enterprise LinuxおよびCentOSの開発版のような位置付けとも言えるディストリビューションで、積極的に新しいソフトウェアを導入する傾向が非常に強い。サポート期間が非常に短く、おおよそ半年〜1年でアップグレードをかけなければならないほどであり、安定性も犠牲になっているため、初心者には敷居が高いが、開発メインで行うには選択肢としては検討の余地がある。
サーバー用途
サーバー用途であれば、以下が推奨される。
- CentOS
- Ubuntu (Server, LTS)
- Debian GNU/Linux
サーバー用途は用途にもよるが、長期にわたって環境をアップグレードしないという傾向が非常に強く、したがって長期間のサポートがなされるOSが必要になる。CentOSでは10年、UbuntuのLTS版は5年、Debianでも通常サポートは3年前後、LTSが加わると合計5年前後になる。
いずれも安定性には定評のあるディストリビューション且つ情報も多いため、情報を駆使して使っていけるだろう。
最後に
今回は1年以上に書いた記事を用途別にまとめてみた形となったが、主要なディストリビューションの多くは初心者でも導入しやすく、なおかつデスクトップ用途・サーバー用途のどちらにも十分対応しているというものも少なくなかった。
最終的には好みの問題となってしまうが、もしGNU/Linuxシステムを導入したいという方がいたら、ぜひ参考にしてもらいたいと考えている。
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