今回は、Arch Linuxのインストール方法を(当方が行った方法を元に)説明したい。基本的には英語環境でCLI環境を構築できるところまで行きたい。
注意事項
- この項目の内容は、PCを破壊してしまう可能性があります。むやみに本番環境で行わず、不要なPCや仮想環境などを使うことをお勧めします。
- 以下の方法は仮想環境で行った場合を元に記述しています。環境によっては異なる場合がありますので、ご注意ください。
- Arch LinuxはUbuntuやDebian、CentOSなどのディストリビューションと比較して、インストールおよび環境の構築の難易度はかなり高い部類に入ります。パソコンをある程度使える、マニュアルやハンドブックなどを元に自分が使っている環境に合った環境構築をある程度できるだけのスキルがないとインストールすらままならない場合があります。
今回インストールで使った環境
- PC: MacBook Pro (OS X)
- 仮装環境: VMWare Fusion
- 仮装ストレージ: 32GB
- 仮装CPU: 2CPU
- 仮装メモリ: 2GB
インストールの準備編
DVDイメージのダウンロード
まず、Arch Linuxの公式サイトより、Downloadをクリック、ミラーサイトからarchlinux-YYYY.MM.DD-dual.isoをダウンロードします。
DVD-RまたはUSBにイメージを書き込む
(注: この作業は仮装環境にインストールする場合は不要です。仮装環境の場合は基本的にISOイメージより直接起動できるためです。)
ISOイメージファイルの焼き方、ISO形式のCD・DVDの作り方 – MEMORVAを参考に、ISOイメージファイルをDVD-Rに書き込む。
USBメモリーを使う場合は、Win32 Disk ImagerあるいはISO to USBなどが使える。
なお、Unix系の環境で行う場合は、dd
コマンドでも行える。
インストール手順
Arch Linuxのインストールメディアを起動する
インストールの前準備で作成したDVD-RあるいはUSBメモリ、ディスクイメージなどをセットしてPCを起動する。
しばらくするとインストールメディアが起動する ((起動しない場合、BIOSあるいはUEFIの設定を確認する必要があるが、ここでは割愛する)) 。
その時、以下の選択肢から自分のシステムに合ったものを選択する。
- Boot Arch Linux (x86_64) ((最近のCPUなど、64bitに対応したCPUを使う場合))
- Boot Arch Linux (xi686) ((64bitに対応していないCPUを使っている、あるいは32bit環境を選ぶ場合))
選択後、コマンドラインに移行する。
キーマップを設定する
Arch LinuxではデフォルトのキーマップはUS101なので、日本語キーボードを使用している場合は、loadkeys jp106
を入力して、日本語キーマップをロードする ((それ以外の場合はそれに合ったものを使う)) 。
パーティションを指定する
その後、パーティションを設定する。
cfdiskを起動して、パーティションを指定する。GPT-BIOSでLVMの環境で行う場合の例として、以下を挙げる。
- /dev/sda1 – 1007K, BIOS boot
- /dev/sda2 – 512M, Linux filesystem
- /dev/sda3 – 残りサイズのすべて, Linux LVM
LVMの設定を行う
パーティションの設定が終わったら、LVMの設定を行う。今回は/dev/sda3
にボリュームグループとして”arch”を設定、スワップ領域を4GBで”swap”という名前で、残りをルートに”root”として割り当てる場合を想定する。
まずは、lvm
コマンドを入れて、lvmのプロンプトに入る。その後、以下のコマンドを入れて、ボリュームグループとスワップ領域を作成する。
pvcreate /dev/sda3
vgcreate arch /dev/sda3
lvcreate -L 4G arch -n swap
その後、vgdisplay
を入れて、Free PE / Sizeの左側を確認し(そのサイズを”n”とする)、lvcreate -l n arch -n root
を入力する。
上記の工程が完了すればexit
を入力して終了する。
パーティションごとにファイルシステムを作成、マウントする
上記が完了したら、以下のコマンドを入力して、インストール先のファイルシステムを作成して ((今回はext4でフォーマットする場合)) 、パーティションを割り当てる。
mkswap /dev/arch/swap
swapon /dev/arch/swap
mkfs.ext4 /dev/sda2
mkfs.ext4 /dev/arch/root
mount /dev/arch/root /mnt
mkdir /mnt/boot
mount /dev/sda2 /mnt/boot
Archをインストールする
マウントが完了したら、以下のコマンドを入れて、Archのベースシステムをインストールする。
pacstrap /mnt base base-devel
その後、fstabを生成する。
genfstab -p /mnt >> /mnt/etc/fstab
fstabの生成が完了したら、/mntにchrootする。
arch-chroot /mnt
chrootしたら、hostnameを設定する(例: example-machine)。
echo example-machine > /etc/hostname
次にタイムゾーンを設定する。以下は東京時間の場合である。タイムゾーンが違う場合は、適宜変更する。
ln -s /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
その後、/etc/locale.genを編集、使用するロケールのコメントを解除 ((通常はen_US.UTF8とja_JP.UTF8をアンコメントするのが望ましいか)) した後、以下のコマンドを入れる。
locale-gen
ロケールを/etc/locale.confに指定する(en_US.UTF8の場合。日本語にしたい場合、ja_JP.UTF8にする)。
echo LANG=en_US.UTF8 > /etc/locale.conf
その後、/etc/vconsole.confを編集する。日本語キーを使う場合は以下のようにする。
KEYMAP=jp106
rootのパスワードを設定する。
passwd
DHCPを使う場合は、以下のコマンドを入れる。
systemctl enable dhcpcd.service
その後、/etc/mkinitcpio.confを確認、コメントアウトされていないHOOKSを確認して、lvm2
を追記する。
次に、以下のコマンドを入れる。
mkinitcpio -p linux
ブートローダーをインストールする
次に、ブートローダーをインストールする。以下のコマンドを入れる。
pacman -S grub
grub-install --recheck --target=i386-pc /dev/sda
grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
完了したら、以下のコマンドを入れて、再起動する。
exit
reboot
正常に起動・ログインできるかどうか確認する
再起動後、正常にGRUBが起動し、なおかつArch Linuxが起動するかどうか確認をする。問題があったら、インストールをし直すなどの調整を行う。
念のため、以下のコマンドを入れて、パッケージマネージャーが動くかどうか確認する。
pacman -Syu
最後に
今回はインストールの難しいLinuxディストリビューションの一つであるArch Linuxの当方なりのインストール方法を説明した。
今回は当方のやり方をベースに説明したが、それぞれの環境に合わせてチャレンジしてもらいたい。
またの機会に、GUI環境の構築方法も説明できればと考えている。
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