以前にも何度かLinuxディストリビューションの選び方について書いていたが、2015年11月に記事を書いてから1年が過ぎた。それからどう変わっていっただろうか。改めてディストリビューションの特徴と適しているユーザーや利用用途といった側面などから、色々紹介していきたい。とはいえ、大きく変わっているとはいえない部分もあるが、その点はご愛嬌で。
初心者にオススメのディストリビューション
まずは、初心者向けのディストリビューションから説明していきたい。これらは、コミュニティーが豊富で、なおかつ利用者も多いという特徴がある。したがって、初めてLinuxを触る方はこちらから使っていくといいだろう。
Ubuntu
言わずと知れた人気ディストリビューションの一つである。2010年より導入されたUI「Unity」の導入を巡って賛否が大きく分かれ、一部のユーザーがLinux Mintに流れてしまっているものの、依然として人気のディストリビューションの一つとしての位置を維持している。
コミュニティーも極めて活発で、初心者でも情報収集・活用するだけの能力があれば、十分に使っていけるOSであると言える。
Linuxディストリビューションとしては、日本語環境がしっかり整備されており、なおかつJapanese Teamから頒布されている日本語Remix版を使用すれば、すぐに日本語環境が使えるといった利点がある。
Ubuntuでは2年ごとにLong Term Support版(LTS)がリリースされる。こちらは通常の最低9ヶ月のサポートではなく、5年にもわたる長期のサポートが行われるバージョンで、頻繁にアップグレードしない場合はLTS版を選択すると良いだろう。
ただし、機能を組み込む傾向が強いため、最近のバージョンではWindows 10が快適に動作するハードウェアでないと少々心許ない。
CentOS
日本においては、サーバー用のOSとしてよく使われているディストリビューションである。これは、RedHat Enterprise Linux(RHEL)のクローンOSで、基本的なOSとしての機能はRHELに準拠する。
コミュニティーは極めて活発で、情報収集・活用できるのであれば、十分に使っていけるだろう。
本来企業向けの機能に特化しているOSであるが、デスクトップ環境としても十分に対応でき、なおかつ安定性も高いため、初心者にとっては十分なほど安心して使っていけるだろう。
Ubuntuと比較するとソフトウェアが古いものも多いが、要求されるハードウェアスペックはUbuntuほどではないといった印象である。
openSUSE Leap
日本においてはUbuntuやCentOSと比較するとマイナーだが、欧米においてはよく使われているディストリビューションの一つである。YaSTと呼ばれるパッケージ・設定管理ツールが搭載されており、テキストエディタでの設定編集に慣れていない利用者でも、専用の設定画面を介してある程度の設定が行えるようになっている。
サポート期間は概ね1年半〜2年ほどとUbuntuやCentOSと比較すると短いものの、こちらも安定性はかなり高い。
その他、オススメのディストリビューション
以下は、初心者には少々敷居が高い部分はあるものの、よく使われているであろうディストリビューションについて色々と書いてみたい。
Debian GNU/Linux
Ubuntuの元となったディストリビューションである。日本においてはCentOSなどのRHELクローンほどではないものの、サーバー用途などで広く使われているディストリビューションである。
デスクトップからサーバーまで広範囲にわたってサポート、Debianプロジェクト自体が活発で、なおかつUbuntuとの関係も概ね良好で、それぞれの利点を活かした開発が行われている。
全体的にはリリースサイクルはかなり長く、おおよそ2年ごとにメジャーバージョンがアップされる。サポート期間は概ね5年間とのことである。
Fedora
実質的に、RedHat Enterprise Linux及びCentOSの開発バージョンの位置付けにあるディストリビューションで、最新技術をいち早く利用できるという特徴がある。一方で、他のディストリビューションと比較するとリリースサイクルとサポート期間は短く、必ずしも安定性が高いとは言えない。
必ずしも初心者に使いやすいディストリビューションとは言えないが、最新の技術を利用したい方にとっては最適の選択肢であると言える。
Linux Mint / LMDE
Linux MintはUbuntuベース、LMDEはLinux Mint Debian Editionとも呼ばれておりDebianベースのディストリビューションである。Linux MintはUbuntuで導入されたUnityを巡ってフォークされたディストリビューションであり、基本的にはUbuntuとの互換性が確保されている。なお、バージョン17以降はLTS版ベースのみとなっている。
LMDEはDebianがベースとなっており、同梱ソフトウェアが古い一方で、動作が比較的軽いと言われている。
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