2020年12月8日にCentOSプロジェクトは、Red Hat Enterprise Linuxのクローン版にあたる「CentOS Linux」バージョン8のサポートを2021年末で終了、バージョン9の提供を行わないことを発表、すでにCentOS Linux 8が2021年12月31日をもって完全にサポート終了、前バージョンのCentOS Linux 7はサポートは2024年6月までメンテナンスが継続されるものの、すでにCentOSプロジェクトとしてはRHELの開発版の立ち位置にあたる「CentOS Stream」に注力している状態にある。ここではこれまでのRHELクローンとしてのCentOS Linuxの後継にあたるディストリビューションの現況も踏まえて解説したい。
CentOSとは?
本題に入る前に、CentOSについて説明を行いたい。
CentOS Linuxとは?
CentOS Linuxは、コミュニティーがベースとなって立ち上げた「CentOSプロジェクト」が主体となって開発を行っていたGNU/Linuxディストリビューションで、これはレッドハット社が商用向けに販売しているディストリビューション『Red Hat Enterprise Linux』のソースコードを元にレッドハット社の商標等を除去したうえで開発・ビルド・頒布されたものである。
元々はレッドハット社とは直接的なつながりのないプロジェクトではあったが、2014年にレッドハット社がCentOSプロジェクトを支援することを表明し、主要な開発者の一部をレッドハット社に迎え入れた。
その後、2019年9月24日にCentOS Linux 8とCentOS Stream 8がリリースされたことで、従来のRHELクローンとしてのCentOS LinuxとRHELの開発版に相当するCentOS Streamが同時に存在する状態になり、その後CentOSプロジェクトはRHELの開発版に相当するCentOS Streamの開発に注力する方針となった結果、RHELクローンとしてのCentOS Linuxは終了する方向となった。
CentOS Streamとは?
CentOS Streamとは、 2019年9月24日にCentOS Linux 8とともに登場したディストリビューションで、これはRHELのクローンとしてのディストリビューションではなく、RHELの開発版の立ち位置に相当するものとなっている。
CnetOS Linuxでは、コミュニティーベースのFedoraプロジェクトが開発している『Fedora』の開発での成果をもとにRHELの開発が進められて、RHELがリリースされてからCentOS Linuxが開発・頒布されるという流れになっていたが、CentOS StreamではFedoraでの開発の成果を元にCentOS Streamの開発が行われ、その成果を元にRHELが開発・頒布されるという流れになっており、同じ開発版に相当するFedoraが最新技術のテストの側面が強いのに対し、CentOS StreamではFedoraとRHELの中間に位置して、RHELのリリースに向けたテストの側面が強いものになっている。
従って、Fedoraと比較すればサポート期間は長いものの、RHELのクローンとしてのCentOS Linuxの利用者にとってはかならずしもCentOS Linuxは後継になりうるものではない状態にあると言われている。
CentOS Linuxの後継としてのRHELクローンの現況について
上記の事情から、RHELクローンとしてのCentOS Linuxの利用者はその後継となるディストリビューションを望むこととなり、CentOS Linuxの開発終了の発表から2022年10月中旬時点までに主に以下のディストリビューションが登場した。
また、サイバートラスト社が開発している「MIRACLE LINUX」はバージョン8.4が2021年10月4日に無償で配布開始、その後のバージョンも無償で配布する方針となったほか、オラクル社が開発している「Oracle Linux」もRHELクローンとして配布が続いている。
CentOS Linux後継としては、AlmaLinuxが2021年3月30日に最初のバージョン「8.3」をリリース、Rocky Linuxは2021年6月21日に最初のバージョン「8.4」をリリースし、どちらも開発が継続している。
最後に
CentOS Linuxの開発終了で長きにわたるCentOSの利用者を中心に大きな影響があり、利用用途にもよるがCentOS Streamではニーズを満たせない問題があり、その受け皿となるプロジェクトが発足して、AlmaLinuxやRocky Linuxが登場、少しずつではあるものの移行が始まりつつある様子が見られる ((『LinuxOS利用企業の約4割が現在もCentOSを利用 一方、今後利用したいLinuxOSは AlmaLinuxとRocky Linuxが半数を占める結果に』 – @Press)) 。
このことを踏まえると、CentOS Linux自体は終了、CentOSプロジェクトの方向性は発足当初から大きく変わったものの、発足当初のCentOSプロジェクトの方向性やCentOS Linuxのニーズは依然として根強く、それらがAlmaLinuxやRocky Linuxへと引き継がれていくだろうと考えられる状況を踏まえると、これも自由ソフトウェアだからできるものといえるのだろうか。
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