2023年現在、Appleによって販売されているMacシリーズのうち、ラップトップ型ではMacBook AirとMacBook Proシリーズ、一体型デスクトップ型ではiMac、非一体型のデスクトップ型ではMac mini、Mac ProおよびMac Studioが販売されている。今日ではApple Silicon Macへの移行後に登場したMac Studioを含めてMac Pro意外の全てのMacシリーズがApple Siliconへの移行を完了しているが、Mac Proでは依然としてIntel Xeonモデルを採用し続けている。今回はMac ProおよびMac Studioについて、これまでとこれからについて軽く書いてみたい。
Mac Proの登場と変遷
まずは、Mac Proの登場や今日に至るまでの変遷について、説明をしたい。Mac Proは、Macシリーズでもプロフェッショナルの用途で用いられており、登場から今日に至るまでMacシリーズでは最も拡張性の高いモデルとして今日まで登場し続けているが、2度に渡り大きなモデルチェンジを行っており、意外にも全期間を通して拡張性を重視したモデルとして登場し続けてきたわけではない。
Mac Proは大きく分けて、以下の3つのタイプに分かれており、その姿は大きく変わってきた。
- 第1世代(2006〜2012): タワー型
- 第2世代(2013〜2018): 円筒形
- 第3世代(2019〜): モジュラー式(タワー型/ラックマウント型)
Power Macの後継として登場した第1世代
第1世代のMac Proは、前身に当たるPower Mac G5の筐体デザインを踏襲したタワー型の筐体で、光学ドライブ・ストレージ・メインメモリ・グラフィックボードなどを容易に増設・交換できるようになっている。
第1世代においては、大きく分けて最初期のCoreマイクロアーキテクチャを採用した第1世代(2006〜2007)と、Neharemマイクロアーキテクチャを採用した第1.5世代(2008〜2012)があり、内部構造に差異がある。
大幅に小型化され、円筒形となった第2世代
2013年後半では、筐体デザインが変更され、黒い円筒形のMac Proへ移行した。大幅な筐体デザイン変更でかなり小型化され、CPUやメインメモリ、ストレージ(PCI Express SSD)の交換は可能であるものの、グラフィックボードの交換は不可能になった。
この世代では拡張性を考慮した設計ではなかったため、プロ用途では拡張性の低さが問題となり、2017年に一時的な置き換えとしてiMac Proが販売された後、Mac Proも2019年に第3世代に移行する。
モジュラー形式となった第3世代
2019年には再び筐体デザインが変更され、第1世代以上に拡張性に優れたモジュラー式を採用、PCI ExpressおよびMPX Moduleによる拡張性を有するものになり、筐体サイズも第1世代に近い大型のものとなった。また、筐体は第1世代に近いタワー型と、ラックマウント型の2タイプの筐体がある。
第3世代ではこれまでの世代と比較して価格が大幅に上がっており、基本モデルで第1世代では$2,499~、第2世代では$2,999だったのに対し、第3世代では$5,999~となっており、プロ用途に特化したものとなっている。
Power Macとは?
Power Mac(旧称: Power Macintosh)は、PowerPCを導入していた時代のMacシリーズのうち、一般向けデスクトップ用のiMacやMac Miniに対して、プロフェッショナル用のシリーズであった。当初はそれより以前のMC68000シリーズのCPUを採用していたMacintoshシリーズに対して、PowerPCを採用したデスクトップ型のMacintoshシリーズ ((当時は一般向けのエントリーモデルとして、一部のMacintoshをベースにソフトウェアや周辺機器等を付属してオールインワンの構成にしたPerformaシリーズが1997年まで展開していた。)) の名称として使われており、一体型と非一体型の両方が含まれていたが、1998年に一般向けに一体型のiMacが登場してからは非一体型に一本化された。
iMac登場後の1999年に発売したPower Macintosh G3 (Blue and White)ではボンダイブルーのiMac G3のカラーリングを踏襲したものとなった。その後、同年に発売したPower Mac G4からは名称を「Power Mac」に変更、2000年には小型モデルのPower Mac G4 Cubeが発売され、2003年にはアルミ合金筐体を採用したPower Mac G5が発売され、2006年にはMac Proシリーズに置き換えられる形で展開が終了した。
Mac Studioの登場とその立ち位置
次にMac Studioについて説明したい。
Mac Studioは、2022年に登場した小型のMacワークステーションで、外観としてはMac miniの筐体から高さを増やしたようなものとなっている。かつてのPower Mac G4 CubeやMac Proの第2世代の高性能と省スペース性を両立させようとした流れを引き継いだものといえる。
2022年モデルではApple M1 Maxまたは同Ultraを採用しており、価格帯もM1 Maxモデルが$1,999~、M1 Ultraモデルが$3,999~とMac miniとMac Proの中間に位置するものとなっている。
Mac ProがApple Siliconへ移行するにあたっての懸念と今後の見通しについて
さて、今後はMac ProもApple Siliconベースへ移行するものとは考えられるも、それには多くの懸念があると考えられる。一番の懸念は拡張性であり、それともなって特にMac Studioとの差別化に際して大きな問題となる。
現行のMac Proではメインメモリやグラフィックボードなどの増設・交換が可能で、CPUにもよるがメインメモリは最大1.5TB、グラフィックボードもRadeon Proシリーズを利用することが出来る。一方でMac Studioではメインメモリおよびグラフィックボードはオンボードのため、増設および交換はできない。
Apple Siliconシリーズではこれまでのモデルが内蔵のGPUおよびオンボードのメインメモリーを使っていた関係上、このままApple Siliconへ移行した場合、メインメモリーおよびグラフィックボードの増設・交換は不可能になる見通しとなり、そうなった場合、Mac Studioとの差別化要素が筐体サイズやエアフロー、SSDの増設にとどまるのではという憶測が流れている。
最後に
今回はMac ProおよびMac Studioを中心にこれまでの経緯や2023年にMac Proの新型モデルが出るのではという噂はあるものの、発売時期や詳細に関する情報が不明である以上、確かな情報ではなく、今は発表が出るまで待つしかないといえる。
ウェブマスター。本ブログでITを中心にいろいろな情報や意見などを提供しています。主にスマートフォン向けアプリやウェブアプリの開発を携わっています。ご用の方はコメントかコンタクトフォームにて。